農業・農作業のIT化の意義
いよいよキウイ畑のIT化の協議が始まりました。農業、農作業の自動化の意義とは、①農作業、収穫の自動化による労働量の軽減、②有害鳥獣防止、③気候対策(防霜、防寒)などが考えられます。収穫の自動化は自動収穫機械などのメーカーが作った機器の導入がメインです。有害鳥獣防止のIT化は全国各地で多くの実績があります。例えば、鹿の農地への進入頻度が高い場所で、鹿がキウイ畑に入ろうとするときにセンサーが反応し、刺激音を鳴らすなどが行われています。キウイは根の凍結により枯死するため、防霜対策が必要です。1月、2月という真冬に、土壌まで凍結する地域では、灯油を燃やし、凍結を防ぐことが行われてきました。この土壌温度をセンサーによって把握し、ボイラーを稼働し、温水パイプで土壌を温めることもできます。キウイ畑のIT導入とは、こうした効果が期待できるのです。
LPWA通信規格の導入
LPWA(Low Power Wide Area)とは、低消費電力で長距離のデータ通信を可能とする無線通信技術のことです。4G、5Gといった次世代の通信方式はいくつかありますが、LPWAはもう少し小さなネットワークをつなぐものです。キウイ畑のセンサーから得た情報をその地域に立てたアンテナで集め、サーバー・クラウドに送り、分析をするネットワークのことです。
図1 LPWAのイメージ 出典:NTTコミュニケーションズ
ZETA規格
IoTの本格普及に向け、通信容量は小さいが大量接続を要求されるニーズにおいては、広範囲、低消費電力、低コストに対応するLPWA(Low Power Wide Area)ネットワークが注目を集めています。ZETAは、ZiFiSenseが開発した、超狭帯域(UNB: Ultra Narrow Band)、メッシュネットワークによる広域での分散アクセス、ローパワーでの双方向通信が可能といった特長を持つ、IoTに適したLPWA規格です。これをキウイ畑に導入できないかと議論しています。温度、湿度、土壌センサーで測るPHなどにより、キウイの育成に科学的なデータを集め、対応しようというものです。
図2 IoT向けLPWA無線通信規格 ZETA(ゼタ)出典:TOPPAN