香川県農業試験場府中果樹研究所訪問

香川県がキウイフルーツの高級化に成功したのは府中果樹試験場の品種改良があったから

香川県農業試験場府中果樹研究所では新品種の育成に力を入れ、「香緑」「讃緑」「香粋」そして世界最大級の大きさを誇る「さぬきゴールド」の開発を行った。平成10年頃からその新品種「香緑」が認められ、「ヘイワード」からの更新が進み始めた。現在では香川県育成品種として「香緑」「讃緑」「香粋」「さぬきゴールド」「さぬきエンジェルスイート」「さぬきキウイっこ®」がある。「さぬきエメラルド」は出願を申請中である。12品種の品種の特許を所有している。エンジェルスイート、キウイっこ(5品種)、香緑、香粋、さぬきゴールド、花粉力などがある。

遠景

果樹研究所の沿革

1899年(明治32年)香川県農事試験場を栗林村(現高松市花ノ宮町)に創設

1910年(明治43年)模範果樹園を宮脇村に設置

1915年(大正4年)果樹試験場を端岡村に新設

1930年(昭和5年)農事試験場を農業試験場に改称

1950年(昭和30年)農事試験場を農業試験場に改称、端岡村の果樹試験場を廃止し、現在地(坂出市府中町)に果樹試験地を設置

1957年(昭和32年)果樹試験地を府中分場と改称

昭和50年代キウイ担当部門を設置

2011年(平成23年)農業試験場(本場)の綾川町移転に合わせ、府中果樹研究所と改称

2018年(平成30年)選果場、付属棟を新築

2021年(令和3年)本館、車庫、倉庫を新築

研究所棟

さぬきゴールドは。世界的にみても大きなキウイフルーツ

みかんの価格の急落により昭和50年代にキウイフルーツの育種の担当者を設置した。果樹研究所内には1ヘクタール弱のキウイフルーツ圃場がある。枝ごとに接ぎ木により品種を変えられる。遺伝資源となる野生種を接ぎ木して、保全している。1本のキウイフルーツに3品種程度を接ぎ木し、試験を行っている。愛媛県、福岡県、和歌山県にキウイフルーツの担当者がおり、静岡県は試験場内にキウイフルーツの栽培圃場を所有している。品種改良を常に行っている。特許は種苗法で規定され、30年の期間は県内で独占的に栽培できる。種苗法制度化前の特許期間は17年間であり、このため香緑は特許が切れ、全国で植えることができることになった。さぬきゴールドは国産キウイフルーツが出荷される早い時期での出荷ができる品種である。世界的にみても大きなキウイフルーツであり酸味が少なく、食べやすく、また食べ応え食べがある有望品種である。ヘイワード種に比べ、ビタミンCが3倍あり競争力を持っている。香川県東京事務所の販売促進活動が功を奏し、香川県のキウイフルーツは少量ではあるものの、多品種での高級化路線が成功している。

府中果樹研究所はキウイフルーツ苗木の供給基地として大きく貢献

府中果樹研究所の任務にひとつは、県内の農家へ向けた苗木の供給である。農家の栽培現場から技術課題を見つけ、試験を繰り返し、その技術を普及して、生産者の収益向上を目指している。現在、圃場には1000本のキウイフルーツの木が植栽され、依頼があれば、3000本の苗を出荷できる。自家繁殖には制限があり、第3者への譲渡を禁止している。これにより香川県のキウイフルーツの付加価値を維持している。苗は1000~2000円である。キウイフルーツは水が抜けやすい平野部の平場で作ってほしいと推奨している。湿気に弱い。土を客土し、水田のスキ床を破壊してほしい。

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